この記事の要点
- 2030年はW杯100周年の記念大会
- 3大陸6カ国で開催される
- 開幕戦はモンテビデオ。第1回の舞台
- 64カ国案は「大会後に議論」と会長
初心者メモ
Q. 開催国は誰が決める?
FIFAに加盟する各国協会の投票で決まります。2030年は6カ国の共催案が対抗馬なしで残ったため、2023年の時点で事実上決着していました。
この記事の数字:2030年は第1回大会から100周年。開幕戦は第1回と同じモンテビデオ。
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| 大会 | 第24回 FIFAワールドカップ(100周年記念大会) |
|---|---|
| 会期 | 2030年6月8日〜7月21日(予定) |
| 主開催国 | 🇪🇸 スペイン/🇵🇹 ポルトガル/🇲🇦 モロッコ |
| 100周年記念開催 | 🇺🇾 ウルグアイ/🇦🇷 アルゼンチン/🇵🇾 パラグアイ(各1試合) |
| 出場国数 | 48カ国(64カ国案が議論中) |
FIFAが2023年10月4日に6カ国開催を発表し、2024年にスイス・チューリッヒで行われたFIFA総会で正式に承認された。すでに確定した話だ。
図:2030年大会の開催6カ国
南米3カ国が各1試合、その後は欧州・アフリカの3カ国へ移る
図は編集部が作図(画像の転載ではない)。南米3カ国は100周年記念としての開催で、大会の本体はスペイン・ポルトガル・モロッコで行われる。
南米で3試合だけやる理由
第1回W杯は1930年、ウルグアイで開催された。2030年はそこからちょうど100年になる。
FIFAは「100周年の原点への敬意」として、開幕3試合だけを南米で行うことにした。ウルグアイの首都モンテビデオで記念式典と開幕戦1試合。アルゼンチンとパラグアイでも開幕節の1試合ずつ。計3試合。それが終われば、舞台はヨーロッパとアフリカへ移る。
モンテビデオのエスタジオ・センテナリオは、1930年の第1回大会の決勝が行われたスタジアムだ。「センテナリオ」はスペイン語で「100周年」を意味する——ウルグアイ独立100周年を記念して建てられたからだが、2030年にはW杯100周年の舞台にもなる。
スペイン・ポルトガル・モロッコが選ばれた理由
地理を見ると納得できる。スペインとポルトガルはイベリア半島で地続き。モロッコはそのスペインから、地中海を挟んでわずか14kmしか離れていない。3カ国は実質的にひとつながりの地域として機能する。
この開催には、いくつもの「初」が詰まっている。
| 記録 | 内容 |
|---|---|
| 初の3大陸開催 | 南米・ヨーロッパ・アフリカ |
| 初の北アフリカ開催 | モロッコ |
| 初開催の国 | モロッコ・ポルトガル・パラグアイ |
| ウルグアイでの開催 | 第1回大会(1930年)以来 |
| アルゼンチンでの開催 | 1978年以来 |
| スペインでの開催 | 1982年以来 |
アフリカ全体では2010年南アフリカ以来、南米では2014年ブラジル以来、ヨーロッパでは2018年ロシア以来の開催になる。
すでに6カ国が出場権を持っている
見落とされがちだが、重要な点がある。スペイン、ポルトガル、モロッコ、ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイの6カ国は、開催国としてすでに2030年の出場権を獲得している。
南米で試合をするのは3試合だけなのに、ウルグアイ・アルゼンチン・パラグアイは出場枠を得る。この扱いは異例だ。南米予選の椅子が、実質3つ埋まった状態でスタートすることになる。
64カ国案——浮上しては沈み、また浮上する
ここからが、いま動いている話だ。
2026年大会で出場国は32から48に増えた。ところがその大会が始まる前から、さらに64へ増やす案が出ている。
経緯
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年3月 | ウルグアイサッカー協会会長でFIFA理事のイグナシオ・アロンソ氏が、FIFA評議会で100周年記念の「1回限りの拡大」として64チーム案を提案 |
| 2025年9月23日 | CONMEBOL(南米サッカー連盟)のドミンゲス会長らが、ニューヨークでインファンティーノ会長・グラフストロム事務総長と直接協議。パラグアイのペーニャ大統領も出席 |
| 2026年6月頃 | 『RMC Sport』が「支持が広がっていない」と報道。UEFAが強く反対、AFCも懸念 |
| 2026年7月13日頃 | インファンティーノ会長が『ジ・アスレティック』に「今回のワールドカップ後に、検討、議論される問題であることに間違いはない」と明言 |
3週間前の報道では、64カ国案は失速していた。インファンティーノ会長は熱意を示しておらず、2030年は現行の48カ国体制で開催される可能性が高まっているとされていた。
ところが今大会が佳境に入った2日前、会長は改めて「大会後に議論する」と述べた。案は死んでいない。
賛成側の論理
提案したのはCONMEBOLだ。理由は「これまで世界のトップレベルに触れる機会が少なかった国々にもチャンスを広げるべきだ」というもの。インファンティーノ会長も「どの国にも出場の夢を抱く機会が与えられるべき」と述べている。
100周年という節目に、史上最大の大会をやる。分かりやすい物語ではある。
反対側の論理
反対は根強い。UEFAが強く反対し、AFCも大きな懸念を抱いていると報じられている。理由はこうだ。
- 過密日程——選手の負担がさらに増す
- 運営面の負担——6カ国開催に64チームが加わる
- 開催地の調整——会場が足りるのか
- 予選の価値低下——64チームはFIFA加盟国の約30%にあたる。3カ国に1カ国が本大会に出られるなら、予選とは何なのか
- 競技の質の低下——実力差の大きい試合が増える
そして最も素朴な反論がこれだ。32から48にしたばかりで、その48が実際どうだったのかもまだ検証できていない。
ここからは編集部の見方
その「48が実際どうだったか」については、今大会が答えを出しつつある。
拡大の恩恵は確かにあった。初出場のカーボベルデは3引き分けで決勝トーナメントに進み、アルゼンチンを延長戦まで追い詰めた。人口60万人の島国が、である。これは48カ国にしなければ見られなかった景色だ——と言いたいところだが、実はそうでもない。カーボベルデはアフリカ予選をグループ首位で正面突破しており、32枠でも出場していた可能性が高い。
一方で、拡大の副作用も出た。ラウンド32という新回戦が加わったことで、グループ1位同士が早期に当たる確率が跳ね上がった。FIFAはそれを嫌い、上位4カ国が準決勝まで当たらないようドローを設計し直している。その結果が、史上初の「ランキング上位4カ国が揃ってベスト4」だ。
つまりFIFAは、拡大しながら同時に「頂点が崩れないよう」補強している。64にすれば、この補強はもっと必要になる。裾野を広げるほど頂点を守る仕掛けが要る——という構造そのものが、拡大論のいちばん弱いところだと編集部は考えている。
もっとも、日本にとっては話が別だ。64カ国制が実現すればアジア枠はさらに増え、日本のW杯出場はより安定する。「大会の格が薄まる」という批判と、「出場国が増えて夢が広がる」という主張は、どちらも正しい。立っている場所が違うだけだ。
2030年に向けて、決まっていること・決まっていないこと
| 状態 | |
|---|---|
| 開催国(6カ国・3大陸) | 確定(2024年FIFA総会で承認) |
| 南米3試合+欧州・アフリカ | 確定 |
| 6カ国の出場権 | 確定 |
| 会期(2030年6月8日〜7月21日) | 予定 |
| 出場国数(48か64か) | 未定・議論中 |
インファンティーノ会長の言葉通りなら、議論が始まるのは2026年7月20日の決勝が終わった後だ。つまり、あと5日後から動き出す。
まとめ
2030年は、W杯が始まって100年の大会になる。開幕戦はW杯が生まれたモンテビデオで行われ、そこから海を渡ってスペイン・ポルトガル・モロッコへ。3大陸6カ国という、誰も見たことのない形だ。
その大会を64カ国でやるかどうかは、まだ決まっていない。UEFAとAFCが反対し、支持は一度失速した。だがFIFA会長は「大会後に議論する」と言っている。2026年の決勝の翌日から、2030年の話が始まる。