この記事の要点
- アルゼンチンが2-1で逆転。2大会連続の決勝
- 先制した英は5バックにして押し込まれた
- 保持率36対64、CKは1本対6本
- メッシは無得点。2得点とも彼のクロス
初心者メモ
Q. 「5バック」とはどんな状態?
守る選手を4人から5人に増やした形です。ゴール前は埋まりますが、前に出る人が減るのでボールを持たれ続けます。この試合で保持率が36対64、コーナーキックが1本対6本になったのは、その結果です。
この記事の数字:5バックにした結果、ボール保持率は36対64、CKは1本対6本になった。
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結論——「守る」と決めて守り切れなかったイングランド
開始:4-2-3-1
↓ 後半10分 ゴードンが先制(1-0)
後半27分:5-1-2-2(得点者ゴードン→CBコンサ)
後半37分:5-4-1
↓ 後半40分 失点(1-1)
↓ 後半47分 失点(1-2)
先制した17分後、トーマス・トゥヘル監督はその先制点を決めたアンソニー・ゴードンを下げ、センターバックのエズリ・コンサを投入した。4バックは5バックになった。さらに10分後には5-4-1。前線に残ったのはケイン1枚だけになった。
その13分後に追いつかれ、20分後に逆転された。
データ——押し込まれ続けた90分
| 項目 | 🏴 イングランド | 🇦🇷 アルゼンチン |
|---|---|---|
| ボール保持率 | 36% | 64% |
| シュート | 6 | 14 |
| 枠内シュート | 3 | 6 |
| コーナーキック | 1 | 6 |
| ファウル | 11 | 15 |
| イエローカード | 1 | 3 |
| オフサイド | 1 | 3 |
イングランドは、シュート6本・枠内3本・CK1本・ボール保持36%で勝っていた。これは「守り切る」戦略が機能していた時間帯があったことを意味すると同時に、90分間その状態を維持しなければならないという意味でもあった。
図:準決勝2の主要スタッツ
先制したのはイングランド。だが試合はほぼ全ての数字で押し込まれていた
図は編集部が作図(画像の転載ではない)。コーナーキック1本対6本は、押し込まれ続けた時間の長さをそのまま表している。
アルゼンチンのCK6本に対し、イングランドは1本。セットプレーの機会が6対1だった試合で、2失点ともヘディングだった。
前半30分、両チームともシュート0本
この試合には、もうひとつ異様な記録がある。NBC Newsによれば、試合開始から30分間、両チームとも1本もシュートを打たなかった。これは、W杯がテレビ放送されるようになって以降、初めてのことだという。
史上初めてFIFAランキング1位と4位が準決勝で当たった試合は、30分間、誰も枠を狙わないところから始まった。
2つのゴール——どちらもメッシのクロス
| 時間 | スコア | 得点者 |
|---|---|---|
| 後半10分 | 1-0 | アンソニー・ゴードン(🏴) |
| 後半40分 | 1-1 | エンソ・フェルナンデス(🇦🇷) |
| 後半47分 | 1-2 | ラウタロ・マルティネス(🇦🇷) |
NBC Newsの実況によれば、2得点はいずれもメッシのクロスからのヘディングだった。決勝点の場面はこうだ。マック・アリスターのシュートがポストを叩き、こぼれ球をメッシが拾ってクロス。ラウタロがヘディングでゴール左へ流し込んだ。
メッシはこの試合、得点していない。今大会8得点で得点ランクを争ってきた39歳は、準決勝では2本のクロスだけで試合を決めた。
入って11分で決めたラウタロ
スカローニ監督の交代も見ておきたい。ラウタロ・マルティネスの投入は後半36分。タグリアフィコ(DF)との交代だった。その11分後に決勝点を挙げている。
アルゼンチンは後半19分に4-1-2-3から4-4-2へ移行し、後半27分にはモリーナ・シメオネ・リサンドロ・マルティネスの3人を同時に代えてデパウル・モンティエル・オタメンディを投入した。イングランドが守りを固めた27分に、アルゼンチンも3枚替えで応じている。同じ時計を見て、逆の判断をした。
この試合が意味すること
アルゼンチンは、64年ぶりの連覇まであと1勝
🇪🇸 スペイン vs アルゼンチン 🇦🇷
決勝
優勝国が次大会も制したのは1958-62年のブラジルが最後で、それ以降15大会連続で連覇はない。アルゼンチンは16大会目の挑戦者として決勝に立つ。この時点で、今大会で唯一まだ結論が出ていないジンクスだった。
【7月20日 追記】 決勝はスペインが1-0(延長)で勝利し、アルゼンチンの64年ぶりの連覇はならなかった。連覇なしは16大会連続に伸びている。
相手は公式戦37試合無敗、今大会7試合1失点のスペイン。準決勝ではフランスを2-0で完封している。
メッシの最後の試合は、決勝
アルゼンチンが敗れていれば、メッシの最後の試合は3位決定戦になるところだった。勝ったことで、それは決勝になった。6大会目、20年の代表キャリアの最後の90分が、世界一を懸けた試合になる。
60年ぶりの決勝を5分で失ったイングランド
1966年以来60年ぶりの決勝進出は、残り5分の時点でまだ手の中にあった。7試合5勝1分1敗。負けたのはこの1試合だけだった。
そして今大会13得点のうち、ケイン6・ベリンガム6・ラッシュフォード1のすべてが「プレミアリーグ以外でプレーする3人」によるものという構図は、最後まで変わらなかった。準決勝の得点者ゴードンはニューカッスル所属で、この構図に加わった4人目になった。そして、その直後に交代させられた。
3位決定戦は7月19日にマイアミで行われ、イングランドが6-4で勝って60年ぶりの3位になった。相手は14年間チームを率いたディディエ・デシャン監督にとって最後の試合となるフランスだ。
ここからは編集部の見方
「5バックにしたから負けた」と言い切るのは、たぶん公平ではない。相手はメッシがいて、ラウタロがベンチに控えているチームだった。アルゼンチンはこの大会、終盤に強く、セットプレーで点を取ってきた。守りを固める判断そのものは、データに反していない。
だが、順番は指摘しておきたい。イングランドは押し込まれていたから守ったのではなく、守ったから押し込まれた側面がある。後半27分の時点でゴードンを下げたことは、「もう点を取りにいかない」という宣言だった。残り18分をシュート0本で耐える設計に切り替えた。そしてCKを6本与えた。
結果論で言えば、この試合の失点はどちらもヘディングだった。5バックにして人数を増やした場所で、空中戦で失点している。数を足しても、クロスの出し手を消せなければ意味がなかった——ということになる。その出し手が、39歳の10番だった。
ひとつだけ確かなことがある。FIFAがドローで上位4カ国を分けて設計した準決勝は、2試合とも「先に構えたほう」が負けた。フランスはスペインに枠内2本しか撃たせず0-2で敗れ、イングランドはアルゼンチンにシュート14本を許して1-2で敗れた。今大会の準決勝で守り勝ったチームは、ひとつもない。
まとめ
- アルゼンチンが2-1でイングランドを下し、2大会連続の決勝進出
- イングランドは後半10分にゴードンで先制するも、後半40分・47分に失点して逆転負け
- イングランドは先制後、得点者を下げて5-1-2-2、さらに5-4-1へと2段階で守備を固めた
- ボール保持36%対64%、シュート6本対14本、CK1本対6本。2失点ともヘディング
- メッシは無得点。だが2得点とも彼のクロスからだった
- 決勝は7/20 4:00 JST、スペイン対アルゼンチン。64年ぶりの連覇が懸かる