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W杯3位決定戦は1試合平均3.8点|決勝の2.7点より多い

更新:2026年7月19日 / ワールドカップ編集部 / 約7分で読めます
3位決定戦は「消化試合」と毎回言われる。だが7月19日のイングランド対フランスは6-4、合計10得点で、ワールドカップの3位決定戦として史上最多得点の試合になった。

この記事の要点

  • イングランドが6-4で60年ぶりの3位
  • 合計10点は3位決定戦の史上最多得点
  • サカがハットトリック、エムバペは2点
  • 平均3.8点で決勝の2.7点より多い

初心者メモ

Q. なぜ3位決定戦をやるの?

準決勝で敗れた2チームが、3位と4位を決めるための試合です。優勝が懸かっていないぶん守りが緩みやすく、ワールドカップ全体では1試合平均3.8点と、決勝の2.7点より多く入っています。

この記事の数字:3位決定戦は1試合平均3.8点。決勝の2.7点より多く入っている。

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今回の3位決定戦

日時2026年7月19日 6:00(日本時間)/終了
会場ハードロック・スタジアム(マイアミ)
対戦🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿 イングランド 6-4 フランス 🇫🇷
決勝7月20日 4:00・ニューヨーク/ニュージャージー(メットライフ・スタジアム)

フランスは7月14日の準決勝でスペインに0-2で敗れ、3大会連続の決勝進出を逃した。対戦相手は準決勝でアルゼンチンに1-2で敗れたイングランドに決まった。FIFAランキング3位と4位による3位決定戦である。そしてこの試合には、もうひとつの意味がある。ディディエ・デシャン監督にとって、14年間のフランス代表監督生活の最後の試合になる。2025年1月に「2026年大会限りでの退任」を自ら発表しており、この3位決定戦がデシャンにとって14年間の指揮の最後の試合となった。

「無意味な試合」という批判

3位決定戦への風当たりは強い。最も有名な発言は、2014年ブラジル大会でオランダを率いたルイス・ファン・ハール監督のものだ。3位決定戦の前日、彼はこの試合を不公平であり、存在すべきではないと語った。

批判の中身はいつも同じだ。キャリアで最悪の夜から中2〜3日で、誰も子どもの頃から憧れたことのないメダルのために、全力でプレーしろと言うのか——という主張である。準決勝で敗れた直後のチームに、モチベーションを見出せというほうが酷だという理屈だ。

そして、この批判はすでに一度勝っている。欧州選手権(EURO)は、1980年大会を最後に3位決定戦を廃止した。決め手になったのは、その1980年のイタリア対チェコスロバキアだった。1-1のままPK戦にもつれ、9人目までかかってようやく決着。しかも観客はスタディオ・サン・パオロに2万4千人あまりしか集まらず、開催国の他の試合の半分以下に落ち込んでいた。1976年大会の3位決定戦に至っては、観客7千人未満だったという。

ところが、データは逆を言っている

ここからが本題だ。3位決定戦は1934年、1938年、そして1954年から2022年まで毎大会実施され、これまでに20試合が行われてきた(1930年と1950年は大会方式の都合で実施なし)。この20試合で生まれたゴールは76点。そして——

図:1試合平均得点(1986年以降の10大会)

3位決定戦は決勝より1試合あたり1.1点多い——「消化試合」の逆だ

3位決定戦3.8点決勝2.7点

図は編集部が作図(画像の転載ではない)。20試合の3位決定戦で0-0に終わった試合はゼロ。2026年は6-4で合計10点、史上最多になった。

1986年以降の10大会
3位決定戦:1試合平均 3.8点
決勝:1試合平均 2.7点

3位決定戦10試合で38得点、同じ期間の決勝10試合で27得点。「消化試合」のほうが、1試合あたり1.1点多く入っている。

さらに驚く数字がある。

3位決定戦20試合の歴史
0-0に終わった試合:ゼロ

1934年から2022年まで、一度もスコアレスドローがない。決勝では2010年(スペイン1-0オランダ・延長)や2022年(アルゼンチン3-3フランス・PK戦)のように、90分で動かない試合が珍しくない。3位決定戦では、それが一度も起きていない。

ここからは編集部の見方

理由は単純だと考えている。失うものがないからだ。決勝は勝てば英雄、負ければ4年間言われ続ける。だから守る。リスクを取らない。ミスを恐れる。3位決定戦にその重圧はない。負けても4位、勝てば3位。その差は、決勝の1位と2位の差に比べればはるかに小さい。

結果として、両チームとも前に出る。守備は緩む。点が入る。「モチベーションがないから凡戦になる」という予想は、実際の記録とは逆になっている。緊張から解放された試合のほうが、サッカーとしては面白くなる——3位決定戦が20回にわたって証明してきたのは、たぶんそういうことだ。

3位決定戦が生んだ記録

1958年 フランス 6-3 西ドイツ——今も破られない大会記録

フランスにとって、3位決定戦は縁の深い試合だ。1958年スウェーデン大会、フランスは西ドイツを6-3で下した。この試合でジュスト・フォンテーヌが4得点。大会通算13得点となり、この記録は68年経った現在も破られていないW杯単一大会の最多得点記録である。

今大会のエムバペとメッシが8得点で並んでいることを考えると、13という数字がどれだけ異常か分かる。そしてその記録は、3位決定戦で完成した。

2002年 トルコ 3-2 韓国——W杯史上最速ゴール

日韓大会の3位決定戦は、キックオフ直後に動いた。トルコのハカン・シュキュルが開始1分たたずにゴール。これがW杯史上最速ゴールとして記録されている。その後イルハン・マンスズが2点を追加し、韓国も李乙容(イ・ウリョン)と後半アディショナルタイムに宋鍾国(ソン・ジョングク)が返して3-2。最後まで分からない試合になった。

1986年 フランス 4-2 ベルギー——延長戦にもつれた3位決定戦

メキシコ大会でも、フランスは3位決定戦に回っている。ベルギーと2-2のまま延長へ進み、104分にジャン=ピエール・パパン、111分にマニュエル・アモロスが決めて4-2。「消化試合」が延長戦になった。

ちなみにフランスは3位決定戦を2度戦い、2度とも勝ち、その2試合で計10得点している。7月19日は3度目の3位決定戦になる。

1994年 スウェーデン 4-0 ブルガリア

アメリカ大会。ブロリン、ミルド、ヘンリク・ラーション、ケネット・アンデションが決めて4-0。前半40分までに4点が入る一方的な展開だった。

FIFAが3位決定戦をやめない理由

批判があってもFIFAが続けるのには、実務的な理由がある。

理由中身
賞金3位と4位で受け取る額が変わる
FIFAランキング公式戦なのでポイントが加算される。W杯は重要度係数が最も高い大会のため、変動が大きい
興行ノックアウトの試合がもう1つ増え、スタジアムがもう1回埋まる
放送決勝の前日に、放送枠をもう1つ作れる

そして個人タイトルへの影響も見逃せない。得点王争いが接戦の場合、3位決定戦に出る選手には90分の上乗せチャンスがあり、決勝進出組はその日休んでいる。1958年のフォンテーヌはまさにこれで記録を伸ばした。

今大会も他人事ではない。エムバペは8得点でメッシと並び、アシスト数で上回ってアディダス・ゴールデンブーツ争いの首位に立っている。そのエムバペが、決勝の前日に90分を戦う。メッシが準決勝2でどうなるかにもよるが、3位決定戦が得点王を決める可能性は十分にある。

10得点の乱打戦が示したこと

「どうせ消化試合でしょ」と切り捨てるのは、たぶんもったいない。今回の10得点はその極端な例だ。20試合で0-0がゼロ、1986年以降は平均3.8点。データが言っているのは、この試合は高確率で点が入るということだ。

そのうえで今回は、デシャンの14年が終わった。選手として1998年に主将としてトロフィーを掲げ、監督として2018年に優勝し、2022年に準優勝。選手と監督の両方でW杯を制した史上3人目の男の、最後の90分だった。そしてこの試合でエムバペが2得点し、10得点で得点王が決まった。フランスにとっては3度目の3位決定戦で、過去2回はどちらも勝っていたが、今回は4-6で敗れた。

見る理由は、意外と揃っている。

なお翌日の決勝はスペインが1-0(延長)でアルゼンチンを下した。このカードは2026年3月15日にUEFAが中止を発表した「幻のフィナリッシマ」(欧州王者 対 南米王者)と同じ顔合わせだった。編集部の検証では、「前回W杯王者かつ南米王者」対「現欧州王者」の決勝はW杯史上初となる

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参考資料・出典

本記事の作成にあたり、以下の情報源で事実を確認しました。データは2026年7月15日時点のものです。

  • Sports-KingThe Match Nobody Wants: World Cup Third-Place Game History確認した内容:3位決定戦が20試合実施されている点(1934年、1938年、および1954年から2022年までの全大会。1930年と1950年は実施なし)、20試合の総得点が76点である点、1986年以降の10試合で38得点・同期間の決勝10試合で27得点であり、1試合平均で3位決定戦3.8点・決勝2.7点となる点、3位決定戦が歴史上一度も0-0で終わっていない点、ファン・ハールが2014年に3位決定戦を不公平で存在すべきでないと発言した点、UEFAが1980年を最後にEUROの3位決定戦を廃止した点、FIFA側の実施理由(賞金差・ランキングポイント・満員スタジアム・決勝前日の放送枠)、W杯史上最速ゴールと5つのゴールデンブーツが3位決定戦から生まれている点
  • Wikipedia(3位決定戦)3位決定戦確認した内容:3位決定戦が準決勝で敗れたチーム同士による「3位-4位決定戦」である点、準決勝敗退2チームは直接対決がなく優劣を客観的に判断できないため実施される点、英語ではthird-place play offまたはbronze medal gameと呼ばれ「スモール・ファイナル」の別称がある点、重要度が低い場合に不要論が出て廃止になる場合がある点
  • Yahoo!ニュース みんなの意見W杯の3位決定戦は必要? 不必要?確認した内容:2014年ブラジル大会の3位決定戦でブラジルと対戦するオランダのファン・ハール監督が「無意味な試合、やるべきじゃない」と発言した点、3位決定戦がモチベーションを見出しにくいと指摘される一方で1990年大会のイタリア対イングランドのような好試合の例も挙げられる点
  • あたのサッカーまとめブログFIFA W杯まとめ(3位決定戦全結果 1934年〜2022年)確認した内容:1958年スウェーデン大会の3位決定戦がフランス6-3西ドイツで、ジュスト・フォンテーヌが16分・35分・78分・89分に4得点した点、1986年メキシコ大会がフランス4-2ベルギーで104分パパン・111分アモロスの延長戦決着だった点、1994年アメリカ大会がスウェーデン4-0ブルガリアでブロリン・ミルド・ラーション・アンデションが得点した点、2002年日韓大会がトルコ3-2韓国で1分にハカン・シュキュル、13分・32分にイルハン・マンスズ、韓国は9分に李乙容・90+3分に宋鍾国が得点した点
  • Olympics.comFIFAワールドカップ2026丨得点ランキング・最新ゴール数・得点王確認した内容:エムバペとメッシがともに8得点で並んでいる点、得点数が並んだ場合アシスト数で順位が決まりエムバペが首位に立っている点
  • vietnam.vn(UEFA公式見解の紹介記事)なぜEURO 2024では3位決定戦が行われないのか?確認した内容:UEFAがEURO 1984から3位決定戦を廃止し、それ以前の6大会では実施していた点、廃止の決め手が1980年のイタリア対チェコスロバキア(1-1からPK戦9人目で決着)だった点、その試合のスタディオ・サン・パオロの観客が2万4千人あまりで開催国の他試合の半分近くまで落ち込んだ点、1976年大会の3位決定戦は観客7千人未満だった点
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