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W杯のトロフィーは優勝国がもらえない|刻める名前は2038年で満杯

更新:2026年7月24日 / ワールドカップ編集部 / 約5分で読めます
ワールドカップ(W杯)で優勝国が掲げる金色のトロフィー。実はあれを持ち帰ることはできない。渡されるのは別に作られたレプリカで、本物はチューリッヒに戻る。

この記事の要点

  • 優勝国が持ち帰るのはレプリカ
  • 本物はチューリッヒの博物館へ戻る
  • 中まで金が詰まると70kg超で持てない
  • 名前を刻む場所は2038年で尽きる

初心者メモ

Q. 「レプリカ」って偽物のこと?

ここでは FIFA が公式に作らせた複製のことです。優勝国が受け取るのは金メッキのブロンズ製で、「FIFAワールドカップ・ウィナーズ・トロフィー」という別の正式名称が付いています。こちらは永久にその国のものになります。

この記事の数字:本物は18金・高さ36.8cm・約6.1kg。中が空洞で、金が詰まっていれば70kgを超えて持ち上げられない。

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結論——掲げるのは本物、持ち帰るのは別物

優勝が決まった瞬間、キャプテンが両手で高く掲げるあの金色のトロフィー。あれは本物だが、その国のものにはならない。

表彰式が終わると本物はFIFAが回収し、優勝国には金メッキのブロンズ製レプリカが渡される。こちらは「FIFAワールドカップ・ウィナーズ・トロフィー」という別の正式名称を持ち、永久にその国のものになる。2026年に16年ぶり2度目の優勝を果たしたスペインも、掲げたのは本物、持ち帰ったのはレプリカである。

本物のトロフィー
素材:18金(中は空洞)
高さ:36.8cm 重さ:約6.1kg
台座:マラカイト(孔雀石)2層
設計:シルビオ・ガッザニーガ(1971年)
初めて授与:1974年 西ドイツ大会

ちなみに中が空洞なのは、けちっているからではない。18金を中まで詰めると70kgを超え、人間には持ち上げられなくなる。優勝の瞬間に掲げられなければトロフィーの意味がない。

本物の保管場所

大会と大会のあいだ、本物はスイス・チューリッヒのFIFAワールドフットボール博物館に置かれている。誰でも見に行ける。

もうひとつ変わった決まりがある。素手で触れてよいのは、W杯を優勝した選手と国家元首だけ。それ以外は、FIFAの職員であっても白い手袋をはめなければならない。

持ち帰れなくなった理由

最初からこうだったわけではない。1930年から1970年までは、優勝国がトロフィーを次の大会まで預かっていた。当時のトロフィーは「ジュール・リメ杯」といい、ギリシャ神話の勝利の女神ニケをかたどったものだった。

そして当時は「3回優勝した国が永久にもらえる」という規定があった。1970年、ブラジルが3度目の優勝でこれを達成し、ジュール・リメ杯はブラジルのものになった。

ここから先が問題である。1983年、そのトロフィーはリオデジャネイロで盗まれ、いまも見つかっていない。

FIFAは1970年の時点で新しいトロフィーを用意する必要に迫られ、1971年に設計競技を実施。7カ国から集まった53点の中からイタリアの彫刻家シルビオ・ガッザニーガの案が選ばれ、1974年の西ドイツ大会から使われている。最初に掲げたのは西ドイツの主将ベッケンバウアーだった。

永久保持の規定は、このとき廃止された。持ち主が消えたトロフィーを二度と出さないための判断である。W杯のトロフィーは、その歴史のなかで一度、完全に失われている。

図解——名前を刻む場所が尽きる

優勝国の名前は、トロフィーの台座の裏側に、その国の言語で刻まれる。日本が優勝すれば日本語で刻まれることになる。

ところが、この刻む場所には限りがある。1994年大会のあとには追加のプレートを足して場所を作った。それでも複数の資料が「入るのは2038年大会まで」としている。

図:台座に刻める優勝国の枠(1974年〜)

W杯のトロフィーは優勝国がもらえない|刻める名前は2038年で満杯 | ワールドカップ 台座に刻める優勝国の枠(1974年〜) 金色=すでに埋まった14枠 / 点線=残り3枠 1974西ドイツ1978アルゼンチン1982イタリア1986アルゼンチン1990西ドイツ1994ブラジル1998フランス2002ブラジル2006イタリア2010スペイン2014ドイツ2018フランス2022アルゼンチン2026スペインNEW203020342038 1974年の導入から数えて17大会分。2026年のスペインで14枠が埋まり、残りは3枠しかない。 ※ 枠数は「2038年大会まで」という資料の記述から編集部が数えたもの。実際の配置は資料により幅がある。

1974年の導入以降の優勝国を並べたもの。枠の総数は「2038年大会まで」という資料の記述から編集部が数えた概数で、実際の配置は資料によって幅がある(2038年ごろ〜2042年ごろとするものもある)。

2026年のスペインで14枠。残りは2030年、2034年、2038年の3大会分しかない。

2030年、2034年、2038年。そしてその次

次の2030年大会はW杯100周年の記念大会で、6カ国・3大陸という史上初の形式で開かれる。その次が2034年、そして2038年——ここで台座は満杯になる計算になる。

FIFAはその後どうするかを公表していない。考えられる選択肢は、台座を作り直す、トロフィーそのものを新しくする、いまのトロフィーを引退させる、のいずれかである。

おもしろいのは時間の並びだ。1930年に生まれた最初のトロフィーは40年で持ち主を失い、盗まれて消えた。1974年から使われている2代目は、2038年で書く場所を使い切るどちらもおよそ60年前後で寿命が来る計算になる。永遠に見える金色の物体にも、意外と早く期限が来る。

まとめ

W杯のトロフィーについて覚えておくといいのは3つだけだ。掲げるのは本物、持ち帰るのはレプリカ。本物はチューリッヒにある。そして名前を書く場所は2038年で尽きる。

2030年の100周年で誰の名前が刻まれるにせよ、それは残り3枠のうちの1つになる。次にどこかの国が優勝する場面を見るときは、あの台座の裏側で枠がひとつ減っていることを思い出してほしい。

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参考資料・出典

本記事の作成にあたり、以下の情報源で事実を確認しました。データは2026年7月24日時点のものです。刻印欄の残り枠数は編集部が数えた概数で、FIFAの公表値ではありません。

  • FIFA公式(ワールドフットボール博物館)FIFA World Football Museum(チューリッヒ)確認した内容:本物のFIFAワールドカップトロフィーがチューリッヒの同館に収蔵されている点
  • Gulf NewsFIFA World Cup trophy explained: Why winners don't get to keep the 18-carat gold original確認した内容:優勝国が受け取るのは金メッキのブロンズ製レプリカで、それは永久にその国のものになる点
  • Türkiye TodayWorld Cup winners receive replica trophy, not original prize確認した内容:現行トロフィーが1971年にシルビオ・ガッザニーガの設計で、1974年大会から授与されている点、18金製で高さ36.8cm・重さ約6.2kgである点、製造がイタリアのGDEベルトーニである点、1970年以前がジュール・リメ杯だった点
  • GiveMeSportWorld Cup Trophy: Design, History & Facts確認した内容:18金だが中は空洞である点、台座がマラカイト2層である点、1971年の設計競技に7カ国から53点の応募があった点、3回優勝で永久保持という規定によりブラジルが1970年にジュール・リメ杯を獲得し、1983年にリオで盗まれ未発見である点、台座に名前を刻めるのが2038年までである点
  • allaboutfootball.netFIFA World Cup Trophy: Facts, Design, and What Winners Get確認した内容:中実なら70kgを超えて持ち上げられない点、素手で触れられるのが優勝者と国家元首に限られ他は白手袋である点、台座が2038年ごろに満杯になる見込みでFIFAがその後の方針を公表していない点、2026年の優勝国が「Argentina 2022」の下に刻まれる点
  • Gravesham Trophy CentreThe World Cup Trophy: Design, History, Facts & Replicas確認した内容:優勝国名が台座裏側にその国の言語で刻まれる点、刻印できる余地が2038年ごろ〜2042年ごろに尽きるという幅のある見積もりがある点、1974年に最初に掲げたのがベッケンバウアーである点
  • tribuna.comWorld Cup winner actually takes home a copy of the trophy確認した内容:1994年大会のあとに台座へプレートを追加して刻印欄を延長し、それでも2038年までしか入らない点、レプリカが4年ごとにミラノ近郊の工房で新造される点
  • 当サイト(編集部による計算)2030年W杯は6カ国3大陸で開催確認した内容:「残り3枠」は1974年から2038年までの大会数を編集部が数えたもので、FIFAが枠数を公表しているわけではありません
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